第121話 塩害

幸作

2007年10月06日 17:44




店長、なんっすか?この柱??ボロボロじゃないっすか!?


沖縄の住宅が避けて通れない『塩害』だ。
沖縄の住宅は、ほとんど鉄筋コンクリートだが、昭和40年代に建てられた家は少なからず塩害に悩まされている。




さびた鉄筋がむき出しになってるっす。沖縄は常に潮風にさらされている気候だから、鉄がさびるのは分かるっすけど、なんで、コンクリートが落ちちゃってるんすか?


コンクリート自体は強アルカリ性で、コンクリートに囲まれた鉄筋は基本的にはさびないんだが、塩分によって中性化が進んでしまうんだ。


中性化っすか。コンクリートがアルカリ性じゃなくなってしまうってことっすね。
さびるってことは酸化しちゃうってことっすから、コンクリートが鉄筋を守ってくれなくなるってことっすね。


そうなるな。塩分は空中からコンクリートに引っ付いて中性化を進めてしまうものが分かりやすいな。沖縄の場合海に囲まれている上に、一年中風が吹いているし台風による海水の飛散が多いから他府県よりも塩害がひどくなる。


景色がきれいだからって、海岸沿いに家を建てると塩害がひどいってことっすか~


昭和40年代に比べれば、鉄筋コンクリートの塩害対策も進んでいるから、悲観的になる必要はないな。あとはコストの問題だ。


さっきから昭和40年代って言ってるっすけど、年代が関係あるっすか?
(ちょっと昔だから、関係あるはずっす)


昭和40年代は沖縄に限らず日本中が建設ラッシュだったんだ。コンクリートの材料の『砂』が不足しがちになったんだな。
そこで、『海砂』を使い始めた。海砂には当然、海水が含まれているから、しっかり塩分を除去しないといけないんだが、その辺が、いい加減なまま建築物が建てられていったんだ。


え~~~!じゃあ、初めから「中性化」しやすいコンクリートだったんっすね!
だから、昭和40年代の建物が『塩害』のひどい建物になったわけっすか・・・。ひどい話っすねえ!




とくに沖縄は、昭和50年に海洋博覧会がせまっていて、大型のホテルや施設が一気に建築されたから、なおさら海砂による塩害がひろがってしまったんだ。


う~~~ん、華やかな海洋博覧会の裏側で、そんな深刻な塩害がひろがっているとは・・・
皆さんのお家や、学校は大丈夫っすか?



入門鉄筋コンクリート工学第3版


最新のコンクリート防食と補修技術


コンクリートの劣化と補修がわかる本


関連記事